第128週 アウシュヴィッツ特集9

羽ばたきて翔ばぬ鳥いて夏逝きぬ


流血の史蹟平和の春厚し


ただ一人この世に吾の異性あり

めぐり出逢いしおののきを聞く


夏の陽を避けたる舟や行方なし


行方なき船路もありて炎天下

炎天下行方定めぬ水路あり


雲海や街の汚れを煮つめたり


ゆく夏や雲の形に夢を寄せ


恋までと行かず別れし縁なる

せめて残り香幻と知れ