第10週

功成なりて街の墓石や天高し


向日葵を映して空も黄ばみけり


(スペインアンダルシア地方)


人生の橋渡りても彼岸なし


もの言わぬ人も立ちたり伊都寒し


行きずりの日傘と車華やげり


頼まれしシャッター限りの縁ありて

アルバムに咲く永遠の恋


峠路に吹き分かれたり旅の風


間借りする花あればこそ春は濃し


鬼までが浮かれ出でたり花節句


今日もまた未練の色や秋の暮


枯れつつも健げに咲けり忘れ花


緑蔭に幼な子の夢置きわすれ


うずくまる位置まで追いぬ迷い花


訃報まで宅配するや盂蘭の盆


木漏れ日にしばし昼寝の働き蟻


雨宿り扉の奥の謎を問う