第594週 写文俳句9月その1

迷い道路地を抜ければ秋の花

4271

九月の声を聞くと、空は一段と高くなってくる。南方洋上に発生した台風が訪問して来る都度、各地が被害を被るが、台風一過の空は微塵一つの浮遊も許さぬように青く澄む。まだ残暑は厳しく、空気が澄んでいるだけに、油断をしていると真夏以上に陽灼けしてしまう。

山はすでに閉じられているが、むしろ七月初旬よりも絶好の海水浴日和、登山日和がつづくのも、この時期である。

盛り上がった夏の宴が終わって、人々は少し疲れている。この時期、若い女性の中絶手術が多くなるという。濃厚な夏の恋のツケがまわされてきたのである。行きずりの恋が多く、痛い目をみるのは女性の方が圧倒的に多い。苦い恋の想い出と共に、幼い生命が芽のうちにつまれてしまう。

七月、八月に比べて、九月はやや損な役回りの月であるが、学生時代は長い夏休みの後の再会のときでもある。

~続く~

初出:2008年9月梅家族(梅研究会)