第657週 写文俳句11月その3

赫々と陽は立ち姿昏れゆけり

毎日、充実して夜を迎えられる者、あるいは少数派ではあるが、朝を迎えられる者は幸せである。だが、立てた予定通りにはなかなかいかない。予定など初めから立てない人もいる。予定が狂ったり、仕事がおもい通りにいかなかったり、まったく無為に過ごしてしまったりした一日の終わりはとても虚しい。

人は一日単位に区切りながら人生航路を歩いて行くが、自分の意思によらない強制された時間、例えば監獄や軍隊に招集された者や、無法に自由を奪われた人などは、決算などない。煮つまる残照が、その日し残したことの未練として自分の血によって染められているように見えるかもしれない。

初出:2010年11月梅家族(梅研究会)