第667週 写文俳句1月その4

寒星や億光年の便りあり

壮大なすれちがいであるが、アインシュタインの相対性理論は宇宙時間の一瞬を、地球時間の数百年にしてしまうので、地球の機械文明では歯が立たない。

この二人の恋は、果たして宇宙で結ばれたか。磨き抜かれた冬の夜空を見上げる都度、私はこの壮大なすれちがい悲恋ドラマをおもいだす。時たま視野を横切る流星が、恋人を追う宇宙船のように見える。宇宙で再会した二人は、もはや地球の時間の奴隷となることを拒み、別の星に住み着いたかもしれない。

死者の魂が星に化して、夜空を鏤(ちりば)めているという優しい伝承が、いまは亡き親しい人の面影を夜空に探させるが、私は満点の星空を眺める都度、宇宙で再会した恋人たちがそれぞれの星に住み着いているようにおもえる。

初出:2010年1月梅家族(梅研究会)