第11週

艶やかに梅雨(つゆ)まで染める華の舞

(熱海芸妓「華の舞」練習風景)


春霞(がすみ)烟れる奥の逃避行(義経伝説)

(吉野山)


ひまわりに道尋(たず)ねたり迷い蜂


大道を逆さに生きる夏の街


地果てて海始まるや海つばめ

(宗谷岬)


猫の恋破壊の使者に追われたり


君独り聞く梅雨(あめ)の音我も聞く


通り雨傘と一緒に子を忘れ


SLや銀河を超えて位(い)を占めり

(銀河鉄道999 JR中央線茅野駅)


短夜になにを燃やすや窓の奥


梅雨もよいうるむ灯影に人もなく


窓の灯を梅雨烟らせて猫が鳴く