第12週

花あれば花一片(ひら)の行方あり

ありし日の君予告せしごと


花咲けば君の命で購いし

悲しきまでの艶やかさかな


街を食う虫を集めて競うビル


暑き陽を尻目に翔(と)べり軍用機

落ちて行く同じ定めの雲の上


雨を聞く窓の灯りの物語

語り残してたれに伝えむ


寝そびれて深夜病棟虫灯り

虚しきまでになにを照らさむ


唇を交わさぬままに逝きし君

墓石答えず謎いやまさる


竹の秋泥棒までが似非(えせ)参り(筍盗人)


動かざる番犬なれど花守り


廃屋にいまは昔の春もなし