第33週

地の果にへばりつきたる波の花

捨てにし恋を拾う人あり


飛行士の一筆書きや年つまる


廃屋に燃えたる紅葉今昔(いまむかし)


シグナルも黄色に染めり大銀杏


健げにも枯木彩る最後花


お旅舎に寒さの戻り花三分


手の先に触れる柿あり柿届く


三味の音に師弟の距離や菊香る


夕映を配り終りて赤とんぼ

雲より高き位置に消え行く