第37週

アンテナに串刺されたる軍用機

落ち行く先も秋の夕暮


飛魚(とびうお)や串刺されても屋根の上


斜陽まで吊り戻したり鉄の爪


秋空をかきむしりたり破壊の手


日だまりやおもねてもなお猫のまま


母の手の温(ぬくも)り恋し離郷して


月影を囲いし屋根に昏れまさり