第58週 花化粧7

春色を重ね塗りして街昏(く)るる




昏れ行けば梅の香りも影となり


幾星霜耐えたる樹形主替る


主替り花の形象動かざり


花金も閑(しず)かに昏るる梅雨の入り


廃屋に見る人もなき花舞台


咲くときも独りの花の黙秘かな


語らずも花の形や冬に耐え