第1週

梅が香を煮つめる藍や星を溶く


宅配の梅が香なれば友の距離


その角を曲がれば風の香る街


出会う都度恋を失ふ冬化粧


蕾まで膨らみたるも庭寒し


あきらめて楽しくもあり冬木立


(八ヶ岳)


暮れてなほ新たな年の胡蝶蘭


またの日もありと思へと鰯雲


凛として木枯らしに立つ寒椿


歳月の香煙燃やす年の暮


(熱海湯前神社)


集いたる宿に忘れし夜長なり


秋にほふ時計忘れし宿にいて


湯冷めして湯の香まぶしき秋の宿


逝く友もありて集うは秋の寺


(上田市無言館)


別れたる後の涙に梅香る