第682週 写文俳句5月その2

五月晴ペンギンまでが空を飛び

五月晴れの空は手を伸ばせば染まるほどに青く、新緑に染まった薫風が季節の芳しい香りを運んでくる。空には五月の光をいっぱいに吸い込んだ白雲が悠々と漂っている。

俳聖芭蕉をして、「片雲の風に誘はれて、漂泊の思ひやまず」と、おくのほそ道へ誘ったように、地平線のかなた、遠方への想いを誘われるのも五月である。民族大移動といわれるほどのゴールデンウィークを、四月末から五月の初めに設定したのも絶妙である。

五月の出会いには運命の出会いが多いという。特に根拠はないが、五月にはなにか(特によいことが)起きそうな予感が走る。それは光る風に乗って予感が運ばれて来るからである。

初出:2010年5月梅家族(梅研究会)