第107週 藤・山桜・花水木特集

夕闇を呼びて降り積む藤の下


出逢いたる人みな芳わし藤の下


光降る如く藤垂(た)る夕まぐれ


藤浪に溺るるほどや昏れ遅し


暮れ行けば佳人溶けゆく藤の下


藤の下恋なき人も恋患(わずら)い


客去りて昏れ行くばかり藤の浪


廃屋も化粧直しや八重桜

八重桜人無き家に咲き遅れ


遅桜廃屋さらに静まれり


廃屋と知るまでしばし花化粧


月の下廃屋までも花化粧


花水木あらんかぎりの空の下


この空にいつ背がとどく花水木