第183週 おくのほそ道写真俳句紀行

木枯らしの吹き抜く奥や蔵の道


うらうらと人影もなき町の角


(一関)


古屋敷日はうらうらと時の声


(旧沼田家)


一鮎と甘露を友に旅心


(世嬉の一)


街道の斜光(しゃこう)砕けて金木犀


古系図も語らず落ち葉散りやみて


寒仏綿(わた)の帽子も溶けぬまま


(配志和神社)


面影も燻(くゆ)り残して秋の墓所

母の死を受け入れ立つや墓所の秋


霧立つや笠の雫に旅構え


木漏れ日のあちらこちらの貴種となり