第543週~写文俳句

写真と俳句を組み合わせたものが「写真俳句」であるが、私はこれに文章(エッセイ)を加えて「写文俳句」としている。第543週から私が発表してきた「写文俳句」を何週かに分けて掲載します。


枝垂れ雪道を阻まれ遠回り

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雪の少ない土地での雪は、風雅の友である。雪の朝、いつもの散歩コースを雪化粧を施された街を別の空間のように錯覚しながら歩いていると、雪の重みに枝垂れた樹皮が道を塞いでいた。凡樹(ぼんじゅ)が、雪がなければ隠していた美しい本領を発揮したように見えた。迂回しながら、明日は凡樹に返る雪の束の間の演出を俳写一体にして保存した。

初出:2007年1月ほんとうの時代(PHP研究所)