第596週 写文俳句9月その3

灯を消せば月明青く虫すだく

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三月と九月は、会社の決算期でもあり、関係者は気が重い。旧暦では一年を陰と陽とに分けて、九月から翌年の二月までを陰月とするその初め月でもある。夏休みに使い切って、庶民の財布も軽い。

だが、九月は豪勢な夏の燃焼を振り返りながら、自分自身を見つめ直す。そんな殊勝な気持ちの象徴のように、月を見る。月見の名所が賑わった昔に比べて、今日では人工照明にかき消されて、中秋の名月も影が薄い。夜毎に虫のすだきが細くなっていく。~続く~

初出:2008年9月梅家族(梅研究会)