第655週 写文俳句11月その1

秋立ちぬ昨日を拒む朝があり

月はますます透明化していき、いつの間にか晩秋となっている。十月には、ふとした弾みに残暑がぶり返すこともあるが、十一月となると夏の名残は気配もなく、ある朝、庭先や道端に霜が立っているのを見て、秋の深さを知る。

十二月に入ると覚悟が定まるが、十一月は、もうこんなにも日数が経過してしまったのかと焦りをおぼえる。年頭に立てたはずの誓いや予定が、まだほとんどなし終えぬ間に年末が近づいている。時の経過の速さをおもい知らされるのが、この季節、この月である。

初出:2010年10月梅家族(梅研究会)