第656週 写文俳句11月その2

この道を歩み残して秋の暮

和名は霜月、または霜降月(しもふりづき)というが、私は勝手に未練月、または焦り月と称(よ)んでいる。すべてが予定通り進まないほうが多い。べつに怠けていたわけではないが、段取りが悪かったり、想定外の事件やハプニングが重なったりして、予定が狂う。

一年の決算は大晦日であるが、心の決算月は十一月である。十二月に繰り越すと、気持ちと経済的数字の決算が重なって辛い。だが、この二つを分けられる者は幸せであり、数字の決算ができなければ、心の決算も不可能である。

日脚が短くなり、残照が血の色のように凝縮してくるほどに、その日し残したことの未練が煮つまってくるように見える。

初出:2010年11月梅家族(梅研究会)