第668週 写文俳句2月その1

それぞれの莟宿すや明日の夢

師走という年末は、時間の経過の速い月の見本のようになっているが、新しい年を迎えたとおもうと、あっという間に二月になってしまう。

一年のうちで最も短い二月は、その分、経過するのも速く感じられる。春を待つおもいが、時間の流れを加速するのかもしれないが、年末年始の長休みにたるんだ心身が、立ち直れぬ前に二月の声を聞く。

世間はまだ厳冬の最中であるが、莟(つぼみ)の硬い梢にきらりと風が光ったような気がする。春は予感が先走り、体がついていけない。北国はまだ深い雪に閉じ込められており、雪国ではなくとも、本格的な春を迎えるまでには、数回は降雪を迎えなければならない。

初雪見を競った粋人たちは、厳然として微動だにしない冬将軍の支配下を、梅や、沈丁花の芳香を探して杖を曳(ひ)く。

 

初出:2010年2月梅家族(梅研究会)