第713週

駅頭に聖樹のありて年暮るる

十二月は写真俳句の宝庫といってもよい。自分自身が債鬼に追われていても、携帯を持って逃げまわりながら俳句をひねる。あるいは新年の準備も十分に、余裕綽々と句材、写材を探す。べつに非日常の世界や、海外へ出かけなくとも、日常の延長として豊富な句材、写材が犇いているのが十二月である。一句一写ごとに人生が切り取られ、保存されていく。つまり、リセットの保存である。

過ぎ行く年、巡り来る新しい年、いろいろなことがあった今年、そして来年はどんなことや出会いがあるだろう。過ぎ来し方を除夜の鐘が見送り、新しい年の希望を初日の出が照らす。

有名社寺や高い山の頂上、東京タワーなどには初詣、ご来光を拝もうとする人々が殺到するが、私は参詣者がだれもいない、寂れた社寺や、人影もない海岸に立って初詣、初日の出を拝むのが好きである。たった一人の参詣者に御利益が多いような気がする。そして、写真俳句で我が人生のリセットを記録するのである。