第603週 写文俳句11月その1

今日もまた未練の色や秋の暮

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十月の初めころはまだ残暑をおぼえることがあるのに、十一月の声を聞くと高い山は根雪となり、野山は彩られ、朝夕は肌寒さをおぼえる。

北の方では霜を見る。日脚はどんどん詰まり、夜が長くなる。人工照明下のナイトライフはあっても、陽が落ちれば自然に帰り支度となる。この季節の夕映えは短く、釣瓶落としと形容されるように太陽がすとんと地平線に落ちる。それだけ夕映えは濃く煮つまり、血のような色彩を帯びて、西の天末を染める。

一日の予定を消化しきれぬまま夜になってしまうので、その日の未練が煮つまったように見える。

初出:2009年10月梅家族(梅研究会)